はじめに
誰しもが一度は、肘の内側をぶつけてしまい、指先までしびれてしまうような経験をしたことがあるかと思います。今回はそんな状態が継続して出てきてしまう「肘部管症候群」について、お話を進めていきます。
肘部管とは?
肘部管という言葉自体は、あまり聞きなれない単語かと思います。肘の内側には、骨の間の溝があり、そこには「尺骨神経」という神経が通過しています。(肘の内側をぶつけた時に激痛が走る場所です)
ここは単に溝になっているだけではなく、骨と靭帯に囲まれたトンネル様の組織になっており、ここのトンネルを「肘部管」と呼んでいます。
肘部管症候群はどんな症状が出る?
上記で解説した肘部管を通る尺骨神経がなんらかの要因によって、圧迫や牽引を受ける事で出現する病気です。主に以下のような症状が出現します。
✅小指と薬指のしびれ
✅小指と薬指に力が入らない
✅ボタンを締めるなど、細かい動作が難しくなる
✅小指と薬指がまっすぐ伸びない
✅指の開閉自体が難しくなる
✅指の変形が起こる
初めのうちは軽いしびれ感のみですが、悪化してくるとしびれ以外の症状が出現してしまうため、早めの治療が必要になってきます。
肘部管症候群の原因とは?
尺骨神経へ圧迫や牽引を引き起こすものが当てはまり、以下のような原因が考えられます。
✅骨の変形による骨棘の出現(変形性肘関節症に続くもの)
✅肘周囲の靭帯の肥厚
✅ガングリオンなどの腫れ
✅肘の脱臼歴
こういったものが原因として挙げられていますが、原因がなかなか特定できないケースもあるようです。
肘部管症候群の検査と治療法とは?
症状の問診と、徒手検査で確認をし、画像や神経伝導検査などで確定診断に至ります。
〇問診
肘部管症状に特有の小指のしびれの確認、また小指の付け根の痩せている感じがないかでも確認が出来ます。
〇検査
・チネル兆候:神経の異常を調べる際に使用します。肘部管症候群の場合、肘の内側の尺骨神経が通っているエリアを叩くと指先までしびれ感が出ることがあるのが特徴的です。
・画像診断:レントゲンやMRIで圧迫しているような病変がないか確認を行います。
・神経伝導検査:尺骨神経に対して行います。
〇治療法
・局所の安静:可能な限り負荷をかけないような日常の指導を行います。
・薬物療法:ビタミンB12など、しびれや神経の痛みを改善させるものを選択します。
・注射療法:尺骨神経の周囲に、ステロイドなどの注射を行い、局所の炎症を抑える事を促します。
・手術療法:神経の通り道を解放して、圧迫を取り除いたり、神経の走行自体をずらしたりという術式が選択されます。主に進行性の病変に対しては手術が選択させるようです。
手肩改善センターの施術方法とは?
肘部管周囲の圧迫を軽減させると共に、なぜ肘部管に対して負担がかかってしまったのかという観点から施術を行います。近い筋肉で言えば
〇上腕二頭筋
〇円回内筋
といった筋肉群の緊張が起こってしまうと、血行不良に繋がり、肘の内側に負荷がかかってしまいます。そういった筋肉を対象にして施術を行っていくのも、肘部管症候群の症状を軽減させていくためには有効になってきます。
また、それと同時に「なぜ肘の内側に負担がかかってしまったのか?」という観点が重要になってきます。よくあるのが「腕全体が内側にねじれたような状態」になっている事です。
いわゆる「巻き肩」という形になっていると、胸部で血管が圧迫されてしまうために、肘部管に向かう血流が低下してしまいます。また、尺骨神経自体も常に牽引のストレスがかかってしまうために、痛みに繋がってしまいます。
こういった観点から見ると、肩やあるいは首、脊柱といった部位を見ていく必要があり、身体を総合的に見ていく事が、肘部管症候群の症状を軽減させることに必要だと、手肩改善センターでは考えています。
終わりに
長引く肘の痛みでお困りの方、是非一度手肩改善センターにご相談くださいね。